選ぶ力を取り戻す、“余白”という習慣

健康

― 小さな静けさが、迷わない私をつくる ―

心が決められなくなる“あの感じ”

「今日、何食べたい?」
「この先のキャリア、どうする?」
「本当にこれでよかったのかな……」

30代後半から40代になると、日々の選択が重く感じる瞬間が増えてきませんか?
仕事、家庭、親のこと、将来のこと。決めなきゃいけないことは山ほどあるのに、自分の本音がわからなくなる。そんなとき、私はいつも“思考の詰まり”のような感覚に襲われます。

何かに追われて、心に余裕がない。
それなのに、周りは止まってくれない。

そんな日々を繰り返していると、どこかで「もう、何を選んでも意味がない」なんて、投げやりな気持ちになることもあります。

「決定疲れ」で、人生は静かにブレていく

人間は一日に3万5千回の意思決定をしていると言われています。
朝食べるもの、SNSで“いいね”を押すかどうか、話す言葉のひとつひとつまで。

そんなに膨大な決断を繰り返していたら、心が疲れて当然です。
この「決定疲れ(decision fatigue)」の状態では、どんなにがんばっても自分らしい選択ができなくなるのです。

例えば、衝動買いや間食が増えるのも、意志が弱いからではありません。
実は、「頭が疲れて判断力が落ちているから」。これは科学的にも証明されています。

“余白”が、あなたの選択の質を変える

この決定疲れに対して、必要なのは“がんばること”ではありません。
むしろ逆で、「いったん止まること」です。

たとえば、私が取り入れているのは以下のような“余白”をつくる行動です

  • 朝、スマホを見ずに外の景色を眺める5分
  • 昼、コンビニで「なんとなく選ぶ」代わりに、自分の気分を大切にした選択をしてみる
  • 夜、湯船に浸かって「今日はどんな気持ちだった?」と自分に問いかける

これらは特別なことではありません。でも、この「思考の手を止める時間」が、迷いを手放し、自分らしい選択に戻るスイッチになるのです。

「五感に戻る」と、わたしの軸が見えてくる

頭がぐるぐるしているとき、人は“考えて”答えを出そうとします。
でも本当は、“感じること”のほうが、ずっと深い気づきにつながるのです。

こんな小さな行動で、自分に立ち戻れるようになります:

  • お気に入りのマグカップで飲むお茶の味をじっくり味わう
  • 外を歩きながら、空の色に意識を向けてみる
  • 心地よい香りをかぐだけで、脳がリラックスする

これは、「ナッジ(そっと背中を押す仕組み)」です。
正解を提示するのではなく、「やってみようかな」と自然に思えるような小さなきっかけが、人の行動を変えるのです。

「決められない私」を責めなくていい

もし今、決断ができなかったり、なんとなく自分に自信が持てなかったりしても、あなたが悪いわけではありません。

あなたが疲れているのは、“がんばって生きているから”です。
だからこそ、その疲れをリセットする「余白」という習慣が必要なのです。

毎日5分だけでも、「なにもしない時間」をつくってみませんか?
それは、人生のすべてを整える最初の1歩になるかもしれません。

今日のちいさなおくりもの

「今この瞬間に、“わたし”がいる。
それだけで、もう立派な始まり。」

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