「会社が守ってくれる時代」だった頃
「昔はよかったなぁ。うちの会社、社宅もあったし、子どもが生まれたら手当もついて…」
そんな話を、親世代から聞いたことがありませんか?
かつての日本の会社は、家族のような存在でした。
給与だけでなく、住む場所、医療、レジャーにまで手を差し伸べてくれた。
終身雇用と年功序列。頑張れば報われる、そんな信頼関係がありました。
でも、今はどうでしょう。
会社に守られていると感じる瞬間は、どれだけあるでしょうか。
バブル崩壊から始まった「守れない時代」
1990年代のバブル崩壊は、日本企業の基盤を大きく揺るがしました。
あのトヨタですら一時、赤字転落に直面したほどです。
その後、企業は生き残りをかけて変化していきました。
- 海外との価格競争(グローバル化)
- インターネットやAIの急速な普及(デジタル化)
- 消費者ニーズの変化、短期成果主義の強化
この中で、最も削られたのは「人件費」でした。
派遣・契約・パートといった“非正規雇用”の割合は、30年で倍近くに増えています。
なぜ会社は「人を育てる」余裕をなくしたのか
経営が厳しくなる中で、多くの企業は次のような選択をしてきました。
- 新卒以外の採用や育成に力を入れなくなった
- 終身雇用よりも「即戦力」を重視
- 教育・研修・福利厚生がどんどんカット
- 社員の声よりも「数字」が優先される文化
こうして、かつての「人を育てる日本企業」から、「コストとしての労働力」へと視点が変わってしまったのです。
それでも、希望はある
すべての企業がそうではありません。
この数年で、次のような変化が始まっています。
- 「人的資本経営」…人材への投資が会社の価値につながるという考え方
- 働き方改革、健康経営、キャリア支援制度の導入
- 社員の満足度やエンゲージメントを重視する企業の台頭
変わろうとする企業が、少しずつ増えています。
そして、そこに共通しているのは「社員とともに未来をつくる」姿勢です。
サラリーマンのあなたが、今からできること
会社が変わるのを待つだけでは、もったいない。
今の環境を「知ること」「選ぶこと」が、あなたの強みになります。
たとえば…
- 今の職場が「今の自分にとって良い環境か?」を見直してみる
- 必要なスキルや情報を、外から取り入れる
- 副業や資格取得など、リスクを分散する工夫を始める
こうした小さな行動が、「会社に頼りすぎない自分」をつくっていくのです。
まとめ→「会社に尽くす」から「会社と育ち合う」へ
30年前、会社は確かに私たちを守ってくれていました。
でも、今はちがいます。
だからこそ私たちは、“ただ依存する”のではなく、
“自分の人生にとって最適な会社との付き合い方”を選んでいく必要があります。
💡専門用語のやさしい解説(今回登場した言葉)
用語 | 意味 |
---|---|
終身雇用 | 定年まで同じ会社で働き続ける仕組み |
人的資本経営 | 社員を「コスト」ではなく「資産」として育てる経営の考え方 |
福利厚生 | 給与以外で社員の生活を支える制度(住宅手当・社宅・育休など) |
非正規雇用 | アルバイト、派遣、契約社員など、正社員以外の働き方 |
グローバル化 | 世界中の企業や人と競争・協力することが当たり前になる変化 |